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お姉ちゃんがくれたパワーストーン

これは私が17歳だった頃の話です。
私には仲の良い親戚のお姉ちゃんがいます。
年齢は8歳違いです。
二人はまるで本当の姉妹のようでした。
ウェーブがかった髪を長く伸ばし、浅黒い肌に大きな目をしたお姉ちゃんは、まるで野生動物のようなエネルギーがありました。
お姉ちゃんはいつも広い世界を見たいと言っていました。
お姉ちゃんは洋服が好きで、それについてもっと勉強したいとも言っていました。
そんな活発なお姉ちゃんにチャンスがやってきたのは、私が夏休みになる前の頃でした。
お姉ちゃんは急に来週からアメリカへ行くと言って、私に会いに来てくれました。
私はお姉ちゃんがアメリカへ行くのはすごく悲しかったけれど、お姉ちゃんの長年の夢が叶うので、私は一緒になって喜びました。
でもお姉ちゃんのいない夏休みは、私にとって気泡の抜けてしまったサイダーのようでした。
私の住んでいるところはどちらかというと田舎で、セミの鳴き声がうるさいぐらいに聞こえるようなところです。
そんな何もないところにぽつんといる私は、何だか取り残されたような気持ちでした。
その気持ちは特に、お姉ちゃんとメールをやり取りしている時になりました。
お姉ちゃんは初めてのアメリカでの暮らしで、毎日がとても楽しそうでした。
いいな、いいな、と私はお姉ちゃんのことが羨ましくてたまりませんでした。
私には何があるんだろう、何もないなあと自分にガッカリしてしまうばかりです。
かと言って、私にはお姉ちゃんみたいな行動力もありません。
それなのに今の自分じゃ満足できない自分がいて、焦ってしまうのです。
お姉ちゃんに刺激された私は自分の居場所を探すべく、将来のことを考えるようになりました。
しかしのんびりと暮らしてきた私に、これだ、というものが見つかるはずもありません。
私も何かお姉ちゃんみたいに夢中になれるものがあればいいな、毎日私はそんなことばかり思うようになりました。
ある日私は、そんな自分の苦しい気持ちをお姉ちゃんにメールで送りました。
お姉ちゃんからの返事は、勇気を出してやってみな、でした。
実は私もお姉ちゃんのように洋服に興味があったのですが、自信がなくてその道に進もうと積極的に考えていなかったのです。
私は生まれて初めて、自分の道を選択することを突き付けられたような気になりました。
私はお姉ちゃんから返事を貰った日、一晩中考えた末、両親に自分は洋服を作る仕事をしたいと言いました。
自宅から専門学校へ通うのだったらと、その道へ進むことを両親は許してくれました。
夏はとっくに終わり、寒い日々が始まっていました。
お姉ちゃんに自分の進路が決まったことをメールすると、お姉ちゃんはとても喜んでくれました。
そして私が専門学校へ通いだした初めての夏休みに、ィ姉ちゃんがアメリカからやってきたのです。
ますます逞しくなったお姉ちゃんは、眩しいぐらいに輝いていました。
お姉ちゃんは開口一番、いつあんたが決めるのかヤキモキしてた、と言いました。
そして、これからシンドイことがたくさんあるだろうけれど諦めないこと、とお姉ちゃんは続けました。
頷く私にお姉ちゃんは、スリーピングビューティーという鮮やかな青いネックレスをくれました。
これはパワーストーンで気持ちがとても強くなれるとお姉ちゃんは言いました。
お姉ちゃんは、何年かしたら一緒に仕事をしようと言ってくれました。
私は青いネックレスを撫でながら、力強く頷きました。

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